カール・ゴッチ墓所・回向院(東京都・荒川区)
JR常磐線、東京メトロ日比谷線、つくばエクスプレスが乗り入れる南千住駅から回向院までは徒歩数分ほど。回向院は江戸時代の小塚原刑場跡に建てられた寺院として知られ、吉田松陰をはじめとする歴史的人物ゆかりの史跡も残されています。そんな由緒ある境内に、プロレス界の伝説的存在であるカール・ゴッチの墓が建立されているのです。駅前の賑わいから少し歩くだけで、歴史とプロレス文化が交差する特別な空間へ辿り着けるのは実に興味深いところ。期待を胸に墓所へと足を進めます。

カール・ゴッチ之墓
墓石には力強く「カール・ゴッチ之墓」と刻まれています。カール・ゴッチは「プロレスの神様」と称され、アントニオ猪木や藤原喜明、前田日明ら数多くの名レスラーに強い影響を与えた存在です。
2007年に逝去したゴッチの遺骨は、遺言により散骨されました。しかし分骨された遺骨の一部を保管していたジョー・マレンコが日本へ持参、西村修らの尽力によって2017年、没後10年の節目に回向院へ納骨されました。納骨式にはアントニオ猪木をはじめ多くの弟子が参列し、日本プロレス界におけるゴッチの存在の大きさを改めて示しました。

横のパネルにはゴッチの言葉があります
「Never lie , never cheat , never quit.」
その下には、
「技術と精神は常に一緒だ 決して嘘をつくな 決してごまかすな そして決して放棄するな」
という意訳が添えられています。
この言葉は単なる格言ではなく、ゴッチが生涯貫いたレスラーとしての信念そのもの。華やかな興行の世界にあっても、強さへの探究と誠実さを何より重んじた彼らしい一節です。墓前に立ってこの言葉を読むと、リング上の技術だけではなく、人としてどう生きるべきかを語りかけられているような気持ちになります。今なお多くのレスラーがゴッチを敬愛する理由が、この短い言葉の中に凝縮されているように感じられました。
南千住の回向院にあるカール・ゴッチ墓所は、単なる著名人の墓所ではありません。そこには日本プロレス史の一端と、弟子たちが師へ捧げた深い敬意が刻まれています。遺骨の大半は遠くフロリダの湖へ還りながらも、その魂を慕う人々の想いによって日本に築かれた墓所は、まさにファンとレスラーたちが守り続ける聖地と呼ぶにふさわしい場所でした。
墓前で「Never lie , never cheat , never quit.」の言葉を見上げていると、ゴッチが今もプロレス界を見守っているような気がしてきます。南千住を訪れる機会があれば、ぜひ回向院へ足を運び、プロレスの神様へ静かに手を合わせてみてはいかがでしょうか。その時間はきっと、プロレスファンにとって忘れられない探訪のひとときになるはずです。
回向院
・東京都荒川区南千住5丁目33-13
・「南千住駅」からすぐそこ。













