宇佐神宮(大分県・宇佐市)

湯の町・別府の旅情を感じさせる温泉マークがあしらわれた駅名標に旅情を感じつつホームに立つ。日豊本線の上り始発電車となる5時46分発の列車に乗り込み、目的地である宇佐神宮を目指す清々しい朝の旅がここからスタートします。

ホームには既に柳ヶ浦行きの始発電車が待機しております。乗客もまばらな車内は静まり返っており、これから向かう聖地への道中にふさわしい澄んだ緊張感と高揚感を届けてくれます。列車に揺られながら、車窓に流れる朝の景色をのんびりと眺める贅沢な時間の始まりです。

列車に揺られること約45分、目的地であるJR宇佐駅に到着しました。ホームで目を引くのは、アメリカの国旗ふーじーの駅名標です。ローマ字で表記すると「USA」となることから「アメリカ合衆国よりはるか昔から存在する伝統のUSA」としても親しまれており、歴史の長さをユニークな視点で実感させてくれます。

宇佐駅の構内を見渡すと、地元のレンタカー広告に可愛らしい巫女のキャラクターが描かれているのが目に入ります。伝統的な神道の聖地でありながら、訪れる参拝客を親しみやすく出迎えてくれる現代的な地域振興の工夫が見られ、微笑ましい気持ちになります。

宇佐駅前から路線バスに乗り込み、純朴な風景を抜けながら揺られることしばらく、ついに宇佐神宮のバス停へ到着しました。時刻は午前7時20分。早朝ならではの静けさとピンと張り詰めた心地よい空気が境内全体を包み込んでおり、朝一番の参拝ならではの特別な時間を堪能できます。

境内には「宇佐神宮御鎮座1300年」を告げる記念ポスターが掲げられていました。ポスターの下部に目をやると、「神輿の発祥」「神仏習合の発祥」「放生会の発祥」という三つの重要な史実が刻出されています。宇佐神宮は単なる格式高い神社というだけでなく、日本の信仰文化や神道儀礼の根幹を築いてきた極めて重要な聖地であることを、参拝の入り口で改めて実感させられます。

参道を進んでいくと、いよいよ北参道の鳥居が目の前に現れました。朝の光を受けて重厚に佇む鳥居の姿は一見の価値があり、ここから先が神々が鎮座する聖域であることを強く感触させます。

鳥居の傍らには「宇佐神宮」と刻まれた堂々たる社号標が鎮座しています。その重厚で誇り高い佇まいは、全国八幡宮の総本宮としての歴史と格式の深さを静かに物語っており、参拝者の背筋を自然と伸ばしてくれます。

境内を流れる清らかな寄藻川(よりもがわ)に架かる太鼓橋をゆっくりと渡ります。橋の上から川のせせらぎに耳を澄ませると、水面に映る周囲の木々の緑が美しく、日常の喧騒から完全に切り離されて心が洗われていくのを感じます。

さらに進むと、圧倒的な存在感を放つ木造の朱塗りの大鳥居が姿を現します。宇佐神宮特有の形式を持つ鳥居は、シンプルな造りが特徴的で、澄み渡る朝空と深い緑の木々に鮮やかな朱色が綺麗に映えています。

参拝の前に、大きな屋根が印象的な手水舎で身と心を清めます。

手水舎を過ぎると参道が左右に分かれる案内が見えてきます。右へ向かうと下宮、左へ進むと上宮へと続いています。まずは右手の下宮方面へと足を向けます。

深い木々に囲まれた静けさの中、下宮へと到着しました。

下宮の脇に設置された解説板に目を通します。下宮には上宮と同じく、一之御殿に八幡大神(応神天皇)、二之御殿に比売大神、三之御殿に神功皇后がお祀りされています。

下宮の敷地内には「兆竹(きざしだけ)」と呼ばれる御神木・伝承地があります。

静寂に包まれた下宮の社殿に向かい、いつものように世界平和を祈ります。最近はフォロワーさんやお客さんらの平穏無事も祈ってみたりと活動範囲が広がるにつれて対象も増えつつあります。早朝なら祝詞も奏上し放題。

下宮での参拝を終え、続いて上宮を目指して参道をのぼっていきます。鳥居の先を見上げると、鮮やかな朱塗りと見事な装飾が施された見事な「西大門」が姿を現し、上宮の荘厳な空間へと導いてくれます。

西大門をくぐり境内をゆっくりと歩みます。歩みを進めるごとに神聖なエネルギーが身体の中に満ちていくような感覚を覚えます。

上宮の社殿手前にある解説板を確認します。第一殿に八幡大神(応神天皇)、第二殿に比売大神(ひめのおおかみ)、第三殿に神功皇后(じんぐうこうごう)が鎮座されており、それぞれの御神徳や八幡信仰の成り立ちについての深い学びを得ることができます。

小高い小椋山山頂に鎮座する国宝・上宮社殿へと到着しました。「八幡造」と呼ばれる独自の建築様式を備えた朱塗りの社殿は圧倒的な美しさと品格を誇り、目の前に立つだけで息をのむほどの荘厳さに包まれます。

一之御殿、二之御殿、三之御殿のそれぞれに向かい、心を込めて参拝を重ねていきます。

大楠の木

早朝の参拝を終えた後は、お札やお守りを授与していただくため、授与所の開所時間を境内で静かに待ちます。朝の冷涼な空気のなか、参道の緑や社殿の美しさをゆったりと鑑賞しながら過ごす待ち時間も、旅の醍醐味のひとつです。

「二拝四拍手一拝」という宇佐神宮独自の拝礼作法を解説した案内板が立てられています。一般的な「二拝二拍手一拝」とは異なり、四回手を叩く古風な作法について詳しく説明されており、出雲大社など限られた神社にしか残っていない貴重な神道文化に触れることができます。

授与所が開いたので、参拝の記念におみくじを拝受。

開いたおみくじに目をやると、「大吉」の文字が記されていました。

参拝を全て終えて帰路に就く際、屋根付きの珍しい構造を持つ県指定有形文化財「呉橋(くれはし)」に立ち寄りました。屋根の唐破風が美しい情緒ある橋で、通常渡ることはできませんが、寄藻川のせせらぎと共に眺めるその風情豊かな佇まいは、旅の締めくくりにふさわしい見事な景観です。
早朝の別府を出発し、静寂と清々しい気に満ちた宇佐神宮を巡る旅は、心身ともに清められるような素晴らしい時間となりました。八幡宮の総本宮が持つ圧倒的な歴史の重みと、神仏習合をはじめとする独自の文化の深さを肌で感じることができます。朝の一番の静かな境内で過ごす贅沢な時間は、日々の忙しさを忘れさせ、特別な深い感動を与えてくれます。皆さまもぜひ、少し早起きをして朝の宇佐神宮へ足を運び、この特別な参拝体験を味わってみてはいかがでしょうか。
宇佐神宮
・大分県宇佐市南宇佐2859
・「宇佐八幡」バス停からすぐそこ。
・八幡総本宮 宇佐神宮(外部リンク)












